アカウンティング(会計)とは、端的に言えば事業活動における「お金のやりとり」を記録するものです。その記録を通じて、事業活動の動きを見ることができます。特に、1年間の事業活動の総まとめである決算書からは、事業としての成果や、年度終了時の財政状態を読み取ることができます。言わば「企業の成績表」とも呼べるものです。
決算書が読めない、つまりアカウンティング(会計)のリテラシーがないということは、企業活動の良し悪しを評価できないことを意味します。組織の経営幹部や中核人材はもちろん、顧客の経営課題を解決するビジネスを担う方にとって、経営状態の把握や分析ができることは当然に求められる能力であり、アカウンティング(会計)はそうした能力を構成する要素として欠かすことのできないものです。
アカウンティング(会計)は、会計の実務を行う経理部門だけでなく、すべてのビジネスパーソンに求められる能力です。決算書が読めることは、ビジネスをする上での様々な場面で有利に働きます。
自社の経営状況の把握
第一に、自社の経営状況を把握することができます。利益がどれくらい出ているか、収益性や生産性は高いか、借入金が多すぎないか、現金は十分にあるかを読み取ることで、経営状況の良し悪しを判断したり、さらなる発展に向けた経営課題を発見することができます。
取引先の評価
第二に、取引先の評価ができるようになります。決算書を通じて納品した商品やサービスの代金を回収できるか(貸倒れリスクはないか)、取引して大丈夫な相手かを判断することができます。非上場企業は外部から財務諸表を見られないと思われるかもしれませんが、非上場企業であっても決算公告にて決算書を開示する義務があります。罰則がないため、実際には公開していないケースが多いですが、公開している場合には外部から決算の情報を入手できる場合があります。
融資先・投資先の評価
第三に、融資先・投資先の評価ができるようになります。決算書を読むことで、融資した資金の利息を支払えるか、出資した企業の株価が上がりそうか、配当金が出そうかを分析し、評価できるようになります。銀行業や投資ファンドでもない限り、そうした視点で企業を見る機会はないと思われるかもしれませんが、近年の「貯蓄から投資へ」の流れで株式投資がより身近なものになり、今後ますます企業の株式を取得する個人が増えてくることから、仕事だけではなく私的な面でも役立つスキルとなります。